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ぱたぱた日記 - 最新エントリー

緊急災害対策本部 内閣官房長官               2011年3月13日

枝野幸男様

 

東北地方太平洋沖地震被災地の女性に対する対応に関する要望書

 

NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会

代表 井上摩耶子

 

 現在、東北地方太平洋沖地震の被害状況が刻々と報道されております。政府等の迅速な対応に心から敬意を表します。

 私たちNPO法人日本フェミニストカウンセリング学会は女性のためのカウンセリングに関わる個人や団体が参加している全国組織です。私たちはこれまでの実践から、今回のような災害や性暴力・DV被害など生命の危機を感じるようなトラウマ体験の打撃への早期の介入及び中長期的にわたる継続した心理的な援助の必要性を痛感しております。災害対策における女性固有のニーズへの対応については、様々な団体から適切な要望がなされ、それを十分にご理解いただいていると思いますので、私たちはトラウマ反応への理解とそれに対する心理的ケアについて特に要望したいと思います。

 

1.トラウマは恐怖や無力感、孤立無援感を感じたときに重篤になりやすいものです。情報がない状態はそれを加速させます。できるだけ速やかに丁寧な情報を提供することが重要です。情報提供なしに「なぜこんなに待たされるのか理由がわからない」「いつまでこの状態が続くのかわからない」という状態は非常にストレスが大きくなります。この状態がどれくらい続くのかというおおまかな目途が立っていた方が、気持ちを保ちやすくなるでしょう。

また、被災者の中でも女性やマイノリティであるが故に無視されやすい立場にいる者に対する想像力を働かせる災害対策が重要です。情報や援助の提供、意志決定への参与などに関して、女性、高齢者、障害者、外国籍、性的マイノリティなどの理由で、数に入れられず、無視され続ければ、より孤立感を深めて、トラウマの影響が甚大になると思われます。「遠慮しなくてもいい」「意見を言ってもいい」ということを伝えてください。それが「あなたがたのことを心配しているよ」「大切に思っているよ」というメッセージにつながるからです。

 

2.被災地で性暴力やDV被害にあった場合には、すぐに声を上げにくいかもしれません。声を上げたとしても直ちに安全な場所に避難することができない場合は、危険な状態が続くことになります。自分が被害者であることを周囲に知られてしまうと、よけいに安全感がなくなり追い詰められた心理状態になってしまうからです。また、後から被害を訴え出た被害者に対して「なぜすぐに訴えなかったのか」と責めることは決してしてはなりません。

 

トラウマから1ヵ月以内など直後の時期には自分の感情や感覚を自分と切り離す「解離」などASD(急性ストレス障害)の症状が特徴的です。そのため悲しいという感情がわいてこなかったり、現実感がなくボーっとした状態になったり、記憶も途切れ途切れになってしまうこともあります。それは現実をそのまま受け止めてしまうと自分が保てない場合に「解離」することによって自分を守る防衛反応です。決して「おかしくなったのではない」ということを周囲も本人も理解しておくといいでしょう。

 

トラウマの体験者は、起こった性暴力事件についての自分なりの意味づけを行う必要を感じます。「なぜこんなことが起きてしまったのか」「なぜ自分がこんな目に合わなければならなかったのか」「何かこのことを避ける方法はなかったのか」など、繰り返し自分に問い続けます。このため「自分が不注意だったから性暴力被害にあってしまった」「もっと抵抗していたら防げていたかもしれない」などと、責める必要もないのに自分を責めてしまうことがよくあります。自責感は自分自身で物事をコントロールする力があると感じたいというプラスの側面もありますが、やはり被害者が自分を責める必要はないのです。「あなたが悪いわけではないですよ」と周囲の人が、繰り返し伝えることが重要です。

 

 また、今回のような大きな災害は、その人の以前のトラウマへのフラッシュバックを引き起こすこともよくあります。過去の性暴力やDV被害から心理的に回復していても、震災のショックで過去の記憶が生々しく蘇ることによって心身の調子を崩してしまうこともあります。今回の震災のトラウマに対するケアももちろん中長期的に継続する必要があり、専門的な心理的援助が求められます。

 

 被災者のトラウマ反応が重篤なものになることを防ぐために、以下要望します。

 

 

  (1)被災者の中でも特に災害弱者になりやすい女性、高齢者、障害者、外国籍、性的マ

    イノリティなどに必要な情報や援助の提供、意志決定の場への参与などが行き届く

    ようにすること。

 

(2)ASD(急性ストレス障害)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などトラウマ

  に関する正しい情報を被災者、支援者にわかりやすく提供すること。

 

(3)現在実施中のパープルダイヤルなどを利用してDV・性暴力の防止キャンペーンを行

  ない、女性に対する相談窓口の設置や情報提供など被害者支援を充実させること。 

 

(4)避難所の中に、個室で、プライバシーが守られる女性専用の相談室を設置すること。

 

(5)女性センターなどで中長期的な心理的援助ができるように、相談枠を増やすこと。

  また相談員にはトラウマケアについての十分な研修を行うこと。

 

(6)相談員の惨事ストレスや二次受傷、燃え尽きなどを防ぐためのケアを提供すること。

以上
【資料】

トラウマに対する一般的な反応

強いストレスを伴うようなできごと(トラウマ)を経験した後には、ショックのあまり、たくさんの情緒的な問題に悩まされる場合があります。トラウマ的なできごとの後には、たくさんの変化が感じられるかもしれませんが、それは正常な反応です。

強いストレスを伴うようなできごとを直面した人は、そのできごとの後に深刻な後遺症に悩まされることがよくあります。できごとから3ヶ月の間に気持ちがずいぶんと楽になる人もいますし、回復の早さがゆっくりで、専門家の助けを得て十分に回復できる人もいます。

回復への第一歩は、できごと以来体験してきた自分の変化を今まで以上に自覚することなのです。トラウマ的なできごとを経験した人には、共通してみられる反応がいくつかあります。できごとに対する反応は人それぞれです。一般的といわれるような反応の中でも、あなたがよく体験しているものや、まったく体験したことのないものもあるかもしれません。

このプリントでは、トラウマを経験した後によくみられるいくつかの反応について説明します。

1.恐怖と不安

不安は、危険な場面に対する反応としては一般的で自然なものです。トラウマ的なできごとが終わった後も、不安が長く続く人は多いです。不安な状態が続くのは周囲のことに対して見方や安全感が変化してしまった時です。

できごとを思い出せば不安になるかもしれませんが、突然不安におそわれるような場合もあります。不安を引き起こすきっかけや合図があるのかもしれません。あなたがこわいと感じる時に、もっと注意を払うようにすれば不安を引き起こすきっかけを見つけることができます。突然の不安のいくつかは、実際のところ、出来事を思い出させるきっかけのせいであることがわかるかもしれません。

2.できごとの再体験

トラウマを経験した人は、よくそのできごとを再体験します。例えば、思い出したくないできごとを思い出して、頭から追い出すことができない時があるかもしれません。できごとが再び起きているかのように、フラッシュバックや とても鮮明にイメージを体験する人もいます。悪夢もよくみられる反応です。


こうした症状が生じるのは、トラウマ的な経験がとても衝撃的なものであり、 日常的な経験とはかけ離れているために、世界に関する知識に組み込むことが できないからです。できごとを理解するためには、頭の中で記憶を何度も呼び 起こし、記憶を十分に消化して、整理する必要があります。

3.覚醒の高まり

びくびくしたり、神経が過敏になったり、高ぶったり、ふるえたり、驚きやすかったり、集中できなかったり、寝っけないことなどがあります。覚醒が続いていたり、十分に眠れない時には、怒りっぽくなったり、イライラしたりすることがあります。

この反応は、危険から身を守るための反応です。危険に対する反応は動きが止まること、逃げること、戦うことの3つです。危険から身を守るときには、普段をはるかに超えるエネルギーを必要とします。逃げるか戦うかの反応が備わっているおかげで、アドレナリンの分泌が促されて機敏な動作が可能になり、危険な場面にも適切に対応できるようになっているのです。

トラウマを経験した人にとって世界は、危険に満ちたところによく映ります。身体は常に警戒態勢にあり、いつでもすぐにどんな攻撃にも対処できるように なっています。実際に、覚醒の高まりは危険な場面で役立つものなのですが、安全な場面さえも警戒態勢が長い間持続するようであれば、非常に不快なもの になります。

4.回避行動

回避行動はトラウマに関連した苦痛を消化するための一般的な反応です。できごとを思い出させるような場面、例えばできごとが起きた場面を避けるということです。できごとには直接関係が少ないような場面が避けられる場合もよくあります。例えば、そのできごとは夜起こったのに、昼出かけることを避けたりする場合です。

苦痛を減らすもう一つのやり方は、苦しみをもたらす考えや感情を押しやろうとすることです。この結果、感情が麻痺することがあります。恐怖、あるいは、喜び、愛情のいずれも感じにくく思えるわけです。時には苦痛は考えや感情が強烈すぎて、どちらも完全に閉め出してしまい、できごとのある部分が思 い出せなくなることがあるかもしれません。

5.怒りやイライラ

トラウマを経験した人は、よく怒りやイライラを感じます。もっともあまり怒らない人であれば、この感情は恐ろしいものでもあるでしょう。一番身近な 人にさえ怒りをぶつけてしまうという体験は、特にやっかいなことかもしれません。イライラしすぎるので、怒りを感じるということがあります。世の中が不公平だ、という思いから、怒りがわきあがることもあります。

6.自責感

トラウマ的なできごとのせいで、罪悪感や恥じる気持ちが生まれてくること もよくあります。生き残るためにせざるを得なかったことや、逆にできなかったことについて、自分を責める人は多いです。

その一方で、自分が逆らわなければ、傷つけられずに済んだのに、と後悔する人もいます。できごとの最中に普段ならしないことをしてしまったと、恥ずかしく思うかもしれません。時にはできごとについて他人に責められるという こともあるでしょう。

できごとに罪悪感をもつのは、それについて責任を取ることを意味していま す。そのおかげである程度自制心を保つことができるかもしれませんが、無力 感や抑うつ感を引き起こすことにもつながります。

7.悲嘆や抑うつ

悲嘆や抑うつもまたできごとに対する一般的な反応です。憂うつ、悲しみ、失意と絶望が含まれます。以前よりも泣くことが増えるかもしれません。他の人々への興味や、以前は楽しめた活動への関心が失われるかもしれません。将来の計画がもはや重要には思えなかったり、人生には生きる価値がないと思うかもしれません。このように思えば、死にたいと考えたり、自分を傷つけたり、自殺しようとすることにもなります。自分の周りのことや自分に対する見方ができごとをきっかけとして大幅に変わってしまいました。できごとのせいで失ったものについて嘆き悲しむのは当たり前のことなのです。

8.自己イメージや世界観の変化

できごとの後には、よく自己イメージや世界観が以前よりもネガティブなものになります。自分に「もし自分があんなに弱くなかったら、あんなにバカじゃなかったら、あんな目に遭わずに済んだかもしれない」とつぶやくかもしれません。トラウマ的なできごとを経験すると、全体的に自分自身をネガティブに見る人が多いです。

以前よりも、他人を否定的に見るということも、とても一般的な変化です。

仮に世界は安全な場所だと考えていたとします。でも、トラウマ的な出来事を経験すれば、世界はとても危険だという考えに突然変わるでしょう。以前からひどいできごとの経験があれば、新たな出来事のせいで、周囲に対して危険で他人に対して信用できない、という考えが強化されます。こうしたネガティブな考えをすると、できごとのせいですっかり変わってしまったのではないか、と思わされることがよくあります。他人との関係は堅苦しくなり、信頼感が低下した状態では他人と仲良くなるのが難しくなります。

9.性的関係に対する無関心

トラウマ的なできごとを経験してから、性的な関係がおかしくなる場合があります。多くの人の場合、性欲を感じたり、性的な関係をもったりすることが難しくなります。これはとりわけ性的な暴行を受けた人に当てはまります。他人への信頼感 が失われるのとともに、性行為自体が暴行を思い出させる刺激となるからです。

10.アルコールや薬物の使用量の増加

トラウマ的なできごとを経験してから、飲酒の量や薬物の使用量が増える人がいます。お酒を飲むこと自体は悪いことではありません。でも、トラウマ的なできごとを経験した後に飲酒や薬物の量が増えたのだとしたら、そのせいで回復が遅れたり、新たな問題が生じたりするかもしれません。 (

 

トラウマに対する反応は、その多くがお互いに関連しあっています。例えば、フラッシュバックを体験したとき、自分がコントロールできないと患うかもし れません。そう考えると、恐怖や覚醒が高まっていくわけです。できごとに対する一般的な反応であるにもかかわらず、自分の反応が「気が狂う」「頭がおかしくなる」しるしだと考えてしまう人がよくいます。こうした考えのせいで、さらに余計に怖くなることがあります。繰り返しますが、できごとの後に体験した変化を自覚し、経験した変化を治療中に消化していけば、その分だけ、症状に悩まされるということはなくなっていきます。

以上

以前お知らせしたアピール以降、ドーンセンターの相談予算が一部復活しました。詳しくは、以下の要望書をご覧ごらんいただき、ドーンセンター相談がおかれた状況をご理解いただくとともに、今後とも、皆さんの周囲で出来ることがありましたら、ドーンセンター相談事業の継続の応援をお願いします。

                                    平成21年1月28日

 ドーンセンター相談事業「ドーンスペース」での継続への「お願い」

 

  特定非営利活動法人 心のサポート・ステーション

 代表理事 宮本由起代

 特定非営利活動法人 日本フェミニストカウンセリング学会

代表理事 井上摩耶子

 

昨年は大阪府の財政再建案でドーンセンター及び男女共同参画推進財団の存続が危ぶまれた時には、市民団体「すきやねんドーンセンターの会」などが精力的に存続の運動を行い、54854人と290団体の賛同を得ることができ、財団の自立とドーンセンターの多機能化という形で存続が決まりました。

しかしその後、従来の相談事業スペースには大阪府の「女性相談センター(健康福祉部局)」が転入する案が示され、21年度大阪府予算の一次査定では一旦「ドーンセンター相談事業」予算がゼロ査定になりました。男女共同参画課の努力で予算は67割方復活の見込みですが、相談スペースが「女性相談センター」に転用される計画は残り、従来からのドーンセンター相談の場所は確保されていません。

このままでは「ジェンダーの視点を持ったエンパワーメントの相談を、安全で利用しやすい女性センター独自のスペースで」提供し、「女性を総合的に援助・支援」するというドーンセンターの設立からの理念が消え、「ソフトとハードを一体化した女性センター面接相談」が不可能になります。

 


●大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)の相談事業は、

◆女性たちの緊急で切実なニーズに応えて、セイフティネット機能を果たす専門性の高い相談をおこなっています。そのため、利用者のみならず医療、警察、司法、教育関係機関や府下の自治体から信頼され、全国の公的相談事業のモデルとしての役割を担っています。

 

◆面接相談は年間1800件以上の相談を受けています。毎年設置枠以上の予約が殺到し、現代社会で女性が遭遇する悩みの最前線の相談を受けています。特に支援にさいして高い専門性やスキルが求められる犯罪被害者、虐待サバイバー家族内暴力の被害者などのカウンセリングも多く、公的機関の社会的責任の一端を果たしていると言えます。

 

◆電話相談の年間数は3777件でしたが、時間外アクセスは6721件に達し、相談中のアクセも推定すると電話相談への需要の多さがうかがえます。DVや各種ハラスメントの被害者、育児不安の母親、社会的ひきこもりへの支援などに対して内外から高い評価を得て、外国からの相談もあります。これまでの経験の蓄積と質の高い相談事業をめざした研鑽が、社会的評価に表れています。

 

私たちは、ドーンセンター設立以来の理念にそって電話相談・面接相談事業を担ってきたNPO法人として、ドーンセンター相談スペースでの事業の継続を要望します。福祉部局の「女性相談センター」のドーンへの転入は歓迎しながら、ドーンの女性のための(心理・専門)相談も本来のスペースに残り、協力し合って、女性相談のためのワンストップ施設として、さらに安全且つ利用しやすい相談として継続していけることを、皆さまのご理解をえながら大阪府に要望していきたいと思います。建物だけでなく、充実した機能とプログラムをそなえたドーンセンターを、現在と未来の女性たちに手渡していきましょう。 ご協力ください!